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主に映画の感想を書いているブログです

鉄くず拾いの物語 (2013) [ボスニア・ヘルツェゴヴィナ・仏・スロヴェニア] ダニス・タノヴィッチ監督

ボスニア・ヘルツェゴヴィナを舞台に貧困家庭の危機を描いた作品。カメラをわざとブレさせて撮影し、ドキュメンタリーチックな雰囲気を出している。事実を元にしているし、俳優もプロではなく当事者らが出演しているというから凄いこだわりようだ。

これを「演技」と呼ぶべきなのか疑問ではあるが、まさに真に迫っている。当人たちだからこそ出来た「演技」なのかもしれない。演技をしているようには見えない「演技」である。ドキュメンタリーチックというより、ドキュメンタリーそのものと言ってもいいかもしれない。

そういう観点で見てみれば悪い作品とは思わない。比較的尺の短い作品であるし、退屈するシーンもなく、最後まで緊張感を持って観る事が出来る。

ただ、ストーリーは手術の必要になった家族を助ける為に奔走する主人公の男を描いているだけで、結局は助かるのだが、それだけと言えばそれだけの内容でしかない。昔、戦争に行ったけれども、国からは何の手当てもなく、鉄くずを売って生計を立てているという事だが、お金がない事が本人の責任なのかどうか判然としない為に今ひとつ同情はわいて来ない。

もちろん、お金を払えないからといって生死にかかわる病人の治療を拒否する病院もどうかと思うが、正論と言えば正論ではある。

本作が単なる貧乏人の生活苦を描いただけになったのはこの点だろうと思う。当人たちの怠惰な生活が原因というなら同情の余地は全くないわけで、この作品としては、どうしてもそうなるしかなかったという説明が必要である。それが政治的なものなのか個別の事情なのかどちらかはともかく、そういう設定があって初めて感動もわいて来るのではないかと思う。

 

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