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主に映画の感想を書いているブログです

風立ちぬ (2013) [日] 宮崎駿監督

零戦の設計者を主人公のモデルとした長編アニメーション映画。数々のヒット作を生み出しているスタジオジブリ作品である。

なるほど、映像は素晴らしい出来だ。柔らかいタッチだが崩れもなく、それでいて動きのある、いかにもアニメ向きの絵柄。上品さと躍動感の両立した独特のセンスはさすがとしか言いようがない。

しかし、良かったのは映像だけだった。飛行機の設計者の男の人生を描いているのだが、これがちっとも面白くない。肝心の何故そんなに飛行機が好きなのかが描かれていないからである。つまり、飛行機の魅力についての説明がない。もともと飛行機好きの人なら納得するかもしれないが、そうでない人にとっては、何故この人はこんなに飛行機設計に一生懸命になるのかと疑問しか出て来ない。だから、設計が上手く出来たからといって何の感動もない。その価値が理解出来ないからである。

後半は、恋愛や結婚などに話の重点が移るが、これも中途半端である。昔、出会っており、再会して恋に落ちるという「いかにもなパターン」で済ましている。別におかしくはないのだが、あまりにも端折り過ぎだ。病気の妻を思い遣る夫も当たり前だし、お話になっていない。だからつまらない。

結局のところ、全体的な作りが伝記ドラマなのである。こういう時代で、こういう人物が、こういう人生を歩みました。そういう説明で終わっている。何の主張も感じられない。事実の伝達で終わっている。

実写の映画作品でも伝記ドラマは普通に制作されているが、大抵面白くない。何故なら、制作者の主張が作品にまったく入らないからである。何が言いたいのか分からない表現は絶対に面白くならない。事実の伝達は創作とは言わない。ただの報道である。