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主に映画の感想を書いているブログです

ある過去の行方 (2013) [仏・伊・イラン] アスガー・ファルハディ監督

映画

離婚にまつわる家族たちを描いた人間ドラマ。既に長らく別居状態となっていた夫婦が正式に離婚手続きを行う為に再会する。いろいろ複雑で登場人物も多い物語だが、要約すればこれだけの内容である。

あえて主人公と呼ぶなら、パリに住む妻へ会いに来るイラン在住の男だろう。本作は好感の持てる人物が少ないのが特徴だ。別居しているとはいえ、夫がいる身で、病気の妻を持つ男と不倫をして、平然としている主人公の妻がまず酷過ぎる。まるでそれが当たり前かのような態度を終始取っているのに呆れる。そんな妻を既に何とも思っていないのか淡々と接する主人公にも共感し辛い。病気の妻をほったらかしてこれまた不倫状態の男にも呆れる。彼もまたそれが当然といったような態度である。

何と言うか、変人とかあり得ない人物というわけでもないのだが、これほど人間的に酷い人物ばかりの人間ドラマというのも珍しい気がする。

主人公と妻の間には未成年だが結構な歳の娘がおり、当然、(不倫の上の)再婚など認められるはずもなく激しく反発する展開となり、それもそうだろうなと思うのだが、本作の描き方としては子供がわがままを言っているかのような扱いでしかない。不倫相手の男にも子供がいるのだが、まだ相当幼いから反抗すらしようがない有様である。

本作があまり面白く感じないのは、嫌な人間たちを描いているからというわけではなく、人間に対する制作者の視線があまりに冷淡だからだろうと思う。何かもう少し温かみのある演出があってもいいのではないだろうか。

 

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