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主に映画の感想を書いているブログです

フットノート (2011) [イスラエル] ヨセフ・シダー監督

映画

大学の研究者同士の親子を描いた人間ドラマ。コミカルなシーンも多くあるし、一般的には本作はコメディ作品に入るらしい。

本来、息子に行くべき有名な学術の賞が手違いによって父親に通知されてしまう。自分の受賞を信じ込んだ父親がドヤ顔で大喜びする様子は確かにコメディチックである。

息子は既にいくつも賞を取っている著名な学者で、同じ学者でありながら世間的には父親よりも格上という設定。苦労に苦労を重ねたあげく何十年にも渡って何の賞も取れずにいる父親だから、この受賞通知の手違いが余計に残酷に映る。

真実を告げられた息子にしてもそんな父親を哀れに思い、本来自分が受けるべき賞を父親に譲る事にするわけである。いくらでも感動のドラマとして描けそうな内容だが本作はそうなっていない。

重厚な映像や役者の風貌だけを見るとシリアスドラマの雰囲気なのだが、やっている事はコメディという、何ともアンバランス。特にそのアンバランスによって可笑しさを演出しているわけでもない。だから、私は本作をコメディ作品と言うには抵抗を感じる。

というのも、ただのコメディではなく、要領の良い息子と人付き合いの苦手な父親の対比などの細かい人間ドラマが実に緻密に描けているからである。上っ面のストーリーだけを見て単なるコメディと言うには惜しい作品だと思う。

本作が今一つに思えてしまうとすれば、その理由はまさにこの中途半端なところだろう。私は、普通に感動のドラマとして制作すれば良かった作品だと思う。しかし、半端に茶化したような演出を入れて来るから白けてしまうのだ。あともう一歩工夫すれば名作になった作品かもしれない。

 

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