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主に映画の感想を書いているブログです

サムソンとデリラ (2009) [オーストラリア] ワーウィック・ソーントン監督

映画

サムソンとデリラ」というのは聖書に出て来る物語で、既にこのタイトルで何度も映画化されている。本作もその一つだが、実は内容は全く別物だ。

オーストラリアの先住民アボリジニーたちの貧しい生活を描いた作品である。砂漠の中のアボリジニーの村で暮らしていた若い男女のサムソンとデリラ。デリラの祖母が亡くなった責任を問われた二人は村を出る事になる。

以降、二人の悲惨な放浪生活が始まるという流れ。この内容が本作のメインである。まともに会話すら出来ず、何のあてもなく新しい土地で生きていけるはずもない。それすらも予想出来ない二人は哀れだ。

裕福に暮らす街の人たちも二人には冷たい。唯一味方となるのは路上生活をしているオッサン一人だけである。どんな理由かは説明されないが彼も社会を追われた身なのだろう。だが彼も最後には少しまともな生活が出来るようになったらしく二人の前から姿を消してしまう。

つまり、アボリジニーたちがいかに貧しい生活をしているか。これでいいのかと。そういう批判をしたい作品である。それは理解出来る。しかし、私はアボリジニー云々よりも若い男女二人の関係を描いたドラマとして観ており、それが悪くなかった事を評価したいと思う。アボリジニー云々は政治的な問題であって芸術とは関係ないレベルの話である。

とにかく会話がほとんどない静かな作品だ。俳優もイケメンでも美少女でもなく、汚らしい身なりで、よほどのマニアでなければ観ない作品だろう。しかし、こういった作品の中にも鑑賞に値する作品は埋もれているのだと改めて感じさせられた。

 

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