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主に映画の感想を書いているブログです

渇き。(2014) [日] 中島哲也監督

失踪した娘を捜索する元警官を描いたバイオレンス作品。あらすじだけ聞くとありふれた作品のように思うが、実のところ物凄く変わった駄作である。

このあらすじで、どうしてこれだけつまらなく表現出来るのか不思議に思うほど酷い出来の作品である。

まず、映像が酷い。やたら編集に気合が入っているのか、ちまちまと画面が切り替わる。映像の出来云々以前の問題として観ていて肉体的に疲労する。演出効果としてたまにやるなら良いが、内容関係なく年中やっている。確かに、ちまちま映像を切り替えれば、個々の映像は短時間しか観られないから映像の出来が酷かったり退屈だったりしても気にならない。つまりは誤魔化しに過ぎない。下手な映像にツッコミを入れられない為の演出である。だから当然観ていて面白くないし単純に疲れるだけなのだ。

内容的にも酷い。まず、人物だがこれがまた薄っぺらい。映像同様に中身がない。何故そうなってしまうのかというと、個々の人物設定をセリフだけで説明しているからである。その設定説明も全体の1割くらいで、あとはひたすらバイオレンスシーンをやっている。

たとえば主人公は、妻の不倫相手に傷害事件を起こして警察を辞めたという設定。これはこれでいいのだが、それが本編の主要展開である失踪した自分の娘を捜索するという行動に繋がらない。親子だから当たり前じゃないかと思うかもしれないが、当たり前の事を当たり前に描いたって作品にはならない。当たり前の事でも「効果的に演出して感動をもって相手に伝える」事が創作作品の仕事である。

これだけ必死に捜索するというなら、まず親子でどれだけ仲が良いのか、どれだけ主人公が自分の娘の事を思っているのか、そういった演出が必要である。妻に対しても、どう見ても大切にしているとは思えないシーンしか描いていないのに「愛している」などとセリフで言われても理解に苦しむ。それはそれで本当なのかもしれないが、そんな事はどうでもいいのだ。受け手がどう思うのか、どう伝えたいのか、これらが大事である。

この作品を観ても、主人公の自分の娘に対する想いは全く伝わらない。主人公を例にして説明したが、これらは全ての登場人物に言える事である。主人公の娘にしても、表向きは優等生だが裏では酷い事をやっているという設定は理解出来ても、そもそも優等生という説明が一瞬の説明セリフしかないから、ただの精神異常者にしか見えない。ただの精神異常者を延々見せられても当然の事ながら何の感動もない。

映像、内容ともに酷い作品だが俳優はそれほど悪くなかった。単なるヤクザにしか見えない主人公の言動は暴力的でどうしようもないのだが見ていて正直気持ちがいい。どんな場面でもどんな相手でも言いたい事を言い殴りたければ殴る。やりたい放題。本作で唯一評価出来る部分かもしれない。

意味なくグロテスクなシーンも多く、何が言いたいのかさっぱり分からない作品だから、よほどの暇人以外は見ない事をおすすめしたい作品の一つである。