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主に映画の感想を書いているブログです

ぶどうのなみだ (2014) [日] 三島有紀子監督

父親の遺したワイナリーを受け継いだ兄弟を描いたファンタジー。そう、ファンタジーなのだ。二人だけで広い農場を営んでいたり、農作業をしても泥一つ作業服に付いていなかったり、変な制服の警察官や郵便屋、突然現れる楽団等々。確かに有り得ない事柄は多い。

しかし、舞台は北海道。葡萄を栽培してワイン作り。音楽を志すも耳の病気により挫折等々。そのわりには妙にリアルな設定もある。私は、逆に何故この内容でファンタジー設定にしなければならないのかが分からなかった。

要するに、リアリティのある設定を考えるのが面倒だった。葡萄栽培やワイン作りに関して専門知識を得る作業が面倒臭かった。そういう事なのだろう。それ以外に理由はない。

そういう手抜き作品であるから、当然のごとくストーリーはつまらない。ワイン作りに一生懸命な主人公という事は分かるのだが、どうもうまく行かないというのも、何が駄目で何が原因なのかさっぱり。そもそもこの主人公は音楽をやりたかった人間である。耳の病気により仕方なくワイン作りをしているだけだ。意気込みもたかが知れている。

更に、どのようにワイン作りの基礎を学んだのか。どのレベルにまで達しているのか。ワイン作りに関して詳しい人間が主人公以外に登場しないからこれらもさっぱりわからない。回想シーンで父親は登場するが、登場するだけでワイン作りに関してはやっぱりどのレベルの人なのか分からない。

だから、上手く行かない、上手く行かない、と延々繰り返すだけの内容になっている。訳が分からない。だからつまらないのである。兄弟の間に割って入って来る謎の女もよく分からない。彼女は主人公の恋人になる為の配役で、この恋愛ドラマはまぁ普通。美しい風景を活かした綺麗な映像は悪くないから雰囲気作りは上手く行っている。

こんな風景があったらいいな、こんな(見た目の)兄弟がいたらいいな、こんな話の分かる警察官や郵便屋が居たらいいな、そんな制作側の勝手な趣味の押し付けを感じる作品である。自分の趣味を押し付けているレベルの人間はクリエイターとしては低級である。