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主に映画の感想を書いているブログです

グランド・ジョー (2013) [米] デヴィッド・ゴードン・グリーン監督

伐採業者と少年の交流を描いた人間ドラマ。稼ぎのない父親に代わって伐採の仕事をやり始める少年とその父親の対立の構図が基本的なストーリーである。

少年の父親がひたすら酷い。働かないだけならまだしも暴力を振るい少年が稼いだお金を横取り。自分の娘の身体を売ってお金にしている等々。不仲の親子の微妙な関係は大変うまく描けている。どうやっても仲良く出来ないが、親子である以上は一緒に暮らさざるを得ない。そういう微妙な距離間がうまく演出出来ていた。

主人公となる伐採業者の男も実は犯罪歴のある曲者だ。しかし、根っからの悪人というわけでもない。突然現れた少年を何も詮索せず雇い友達のような関係となって行く。この過程も本作の見どころである。

少年の父親の酷さを認識しつつもあまり深追いしないあたりもそれらしい。雇い主が家庭の問題にまで口出すのもおかしな話というわけだ。

結局、最後の最後まで主人公はこの父親には手を出さない。これだけ自分の子供や他人を利用して生きているクズのような人間だから、ラスト、この父親にはもう少し粘って欲しかったというのが正直なところ。少し物足りない。

ひたすら渋い雰囲気で、俳優を見なければ米国映画という事を忘れてしまう程だ。森林など田舎の風景が続き、閉鎖された空間が演出されている。どこか、ヨーロッパ映画の雰囲気である。

いわゆるエンターテイメント系の作品ではない。アクションもほぼない。地味な人間ドラマである。主人公も完全な善人というわけでもなく正義の味方というほどの人間でもない。しかし、これらによって作りものではない本物の人間ドラマを生み出す事に成功していたと思う。