読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

題名はありません。

主に映画の感想を書いているブログです

雪の轍 (2014) [トルコ・仏・独] ヌリ・ビルゲ・ジェイラン監督

トルコの世界遺産カッパドキア」を舞台に地元の名士夫婦を中心に描いた会話劇。主人公は結構な年齢の老人だが、自分の子供くらいの年齢の若い妻と生活している。事あるごとに喧嘩している。何故夫婦になったのかといった疑問がわいて来る。

有名な観光地の宿泊施設や賃貸住宅を多数所有している、いわゆる富豪。主人公の妻は金目当ての結婚と分かり易いが、主人公はいくらでも相手を選べる地位に居るのに余程この女の外観が気に入っているという事か。仲の良くない夫婦というのはよくあるパターンだが、ハリウッド映画ならまず別居だの離婚だのとなるところ、本作はそうならないあたりが新しい。

別居や離婚は主人公側からたびたび提案するも何故か妻側はOKしない。彼女は慈善活動のグループに入っており、恵まれない施設や人々の為に募金をしたり寄付したりしている。この為に特に好きでもない老人と結婚しているというなら相当なものだ。その強い意志には感動すら覚える。

しかし、だったら特に議論などせず淡々と主人公から金を巻き上げ慈善活動をしていればいい。このあたりが所詮は慈善というよりは偽善活動という事なのだろう。この女はそこまでの域には達していないと感じた。

それにしても3時間超の尺はさすがに長すぎる。あまりに長いので3日間かけて3分割で観たのだが、それでも途中から飽きて来る。とにかくひたすらどうでもいい会話が続くからである。基本ストーリーは、主人公が所有している賃貸住宅の家賃滞納問題、ただこれだけである。あとは、仲の悪い夫婦の喧嘩がだらだら描かれる。うまくまとめれば普通に1時間くらいの内容だ。美しい風景の映像だけでも観られる作品なので何とか鑑賞意欲は継続するのだが。

主人公の妻は慈善活動家らしく家賃を滞納している貧しい兄弟に家が買えるほどのお金を手渡そうとするのだが、断られたあげく、その大金を暖炉に放り投げられる。おそらくこのシーンが本作のクライマックスである。私もこんな風に家が買えるほどの大金を暖炉に放り投げてみたいものである。そんなふうに思った本作唯一の印象的なシーンだ。

この通り、本作は薄っぺらい偽善にまみれた慈善活動に否定的である。富豪の主人公を通してそれを表現しようとしているが、やはりあまりに無駄なシーンが多過ぎると感じた。よほど時間のある映画ファンが観てもいいくらいの作品である。映画自体が好きではない人は観るだけ時間の無駄だろう。もう少し短くまとまっていれば観ても損しない作品になったと思う。

 

雪の轍 [DVD]

雪の轍 [DVD]