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主に映画の感想を書いているブログです

劇場版 ムーミン 南の海で楽しいバカンス (2014) [フィンランド・仏] グザヴィエ・ピカール監督

原作は、トーベ・ヤンソンの小説であり今更説明するまでもない作品。日本でも度々アニメ化されており、映画化もされている。しもぶくれの独特のデザインのキャラクターを知らない人は居ないだろう。

日本では何度もアニメ化されているにもかかわらず、本国フィンランドでは実はこれが初めての長編アニメーション化となる。いわゆる3DCGなどではなく、温かみのある柔らかいタッチの作画である。

映像だけで感動するといったレベルではないが、ペタっとした平面的な背景と独特の丸みを帯びたキャラクターの対比が見易い画面を作り出している。わりと線は多い方だがまとまりのある作画である。日本の劇場向けアニメ作品と比較しても見劣りする部分はないだろう。映像でがっかりしたという事にはならないクオリティは保っている。

内容的には、田舎者のムーミン一家が都会のリゾート地に行きカルチャーショックを受け、やっぱり地元が良いという結論に達して帰郷するといった展開。ありがちである。もちろん、子供向けのアニメ作品としてはこれで十分の内容だ。

ムーミンのカノジョ?のフローレンが水着を買うシーンが傑作である。もともと彼女は衣装を何も身に付けていない。頭上の髪の毛、足環、そしてまつ毛が若干長いのが彼女の識別子である。その上、ビキニの水着を付けて「きわどくない?」などと言うのだ。いや、もともと何も着てないだろっていう。

海賊船が沈没したからといって勝手に船にあるものを持ち出したり、高級ホテルにタダで泊めてもらえると思っていたり、私有地の花を勝手に摘み取ったり、ホテルのカーテンでドレスを作ったり、ホテルの浴室の水を溢れさせ他の部屋まで漏水させたり、これらはムーミン一家にとっては自然な行為に過ぎない。

しかし、都会のリゾート地ではこれらは普通の行為ではなかった。よって、住み辛いと。悪意がなければ何をしても良いというわけでもないが、これらは文化の違いなのであって、ムーミン一家がことさら悪いという事ではないのだ。そういう主張なのだと思う。ムーミン谷のような自由な生活もあっていいだろうと。

一応、子供向けの作品ではあるが、作画も優秀であるし、内容的にも深読みすれば大人でも結構楽しめると思う。アニメーション作品だが、いわゆるオタク向けというわけでもないので、とりあえず観てほのぼのとした気持ちになってみるのも悪くないだろう。