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主に映画の感想を書いているブログです

百日紅~Miss HOKUSAI~ (2015) [日] 原恵一監督

江戸時代の浮世絵師、葛飾北斎の娘を主人公とした人間ドラマ。原作は杉浦日向子の漫画である。原作漫画はそれこそ浮世絵のようなデザインだが、本アニメ映画ではその傾向は弱められ、より一般的なデザインとなっている。

それでも現代のアニメ作品としては随分地味で大人向けのデザインとなっている。子供やオタクには受けないデザインと言えよう。しかし、作画品質はかなり高い。劇場アニメーションとしてもクオリティは高いと言える。映像だけでもそこそこ楽しめるレベルだ。

葛飾北斎とその娘である「お栄」のやり取りが主な内容である。しかし、 絵の技術的な内容を期待して観るとがっかりする。どちらかというと絵にまつわるオカルトホラーといったエピソードが多い。

「お栄」の妹に「お猶」という盲目の女の子がいる。本作の全体構成的には彼女がメインと言っても過言ではない。しかし、浮世絵師を主人公とした作品で盲目の人物を出したからにはそれなりの深い展開を期待するのだが、結局ただの病弱な女の子とそれを世話する姉という構図しか見て取れずがっかりである。一体、何の為に彼女を登場させたのだろう。お涙頂戴か。

恋愛ドラマ的要素も微妙にあるが、これもあっさりと描かれているのみ。いろいろなエピソードを詰め込んだというのが正直なところだろうが、どれも不完全燃焼で物足りない。結局、何が言いたいのかといった部分が抜けている。これではただの個人の日記である。

作画や演出は良いだけに内容の薄さが残念である。観ている人に想像させる。考える余地を残す。といった手法もあるが、本作の場合はさすがに描かなさ過ぎである。必要部分の2割くらいしかない感じ。せめて8割描いて2割残すくらいではないか。

個人的には絵の技術的な内容を期待していただけにがっかりである。これだったら別に画家が主人公である必要もない気がする。身も蓋もない感想だが正直な気持ちである。