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主に映画の感想を書いているブログです

最愛の子 (2014) [中・香港] ピーター・チャン監督

映画

子供の誘拐事件を基に産みの親と育ての親の関係を描いた人間ドラマ。事実を基にした作品である。しかしながら本作に関しては普遍的なテーマを取り扱っている為か事実をなぞるだけの薄っぺらい内容にはなっていない。

事実どうこうは、親子関係というより一人っ子政策や農村の貧困など中国独特の政治・社会環境を描く為に利用されている。これら独特の味付けによって産みの親か育ての親かといった幾度となくやり尽されたテーマも新鮮味を帯びて来る。

二組の元夫婦(以下、夫A、妻A)と夫婦(以下、夫B、妻B)がメイン。夫Aが本作の主人公的ポジションである。妻Aとは別居の上既に離婚しているので息子と二人暮らしなのだが、この子を誘拐されてしまう。誘拐した犯人が夫B。妻Bは夫Bが誘拐した子とは知らず3年間育てる事となる。つまりは、夫A(と妻A)は3年間に渡って我が子を探し続けるのである。主な設定はこんな感じ。

本作的には悪者は全て夫Bに押し付けられている。妻Bは誘拐された子とは知らず育てているわけで罪の意識はない。更にややこしい事に夫Aや妻Aとは関係ない捨て子だった女の子も妻Bは育てており、物語後半ではこの女の子の親権を取得する為の裁判などが中心の展開となっている。

妻Bは不妊症という設定であり、これも同情を誘う。よって、夫Aおよび妻Aと妻B(夫Bはただの誘拐犯である)との対立もどちらが正しいといった結論はない。実話を基にしただけあって重みのあるストーリーだ。

映像も悪くないし、子役を含めて俳優も自然でしっくり来る。変に美男美女でない辺り、生々しい雰囲気作りに成功している。130分超と決して短くない尺にもかかわらず中だるみもせず最後まで緊張感を持って見せる。構成も上手いという事だ。

とりあえず観て損はない作品である。というより、多くの人におすすめ出来る傑作と言って良いだろう。こういった作品は年に数本観られれば良い方である。中国映画のレベルの高さを証明する作品の一つだろう。

 

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